「連帯保証人」という言葉は、テレビでもよく出てきますので、聞いたことがある方は多いのではないかと思います。
家を借りる時や、借金や融資を受ける時などに連帯保証人を立てる必要が出てきます。
この連帯保証人について、令和2年4月に法改正が行われ、連帯保証契約を締結する際のルールが変わりました。
ルール違反の連帯保証契約は無効になり、契約関係に大きな影響を与えることになりますので、本記事では、この法改正について説明していきます。
- 保証人と連帯保証人の違い
- 連帯保証人に関する法改正の内容と注意点
連帯保証人に関する法改正で変わったルールに違反すると連帯保証契約は無効になってしまうので、しっかりと法改正の内容を確認してください。
保証人と連帯保証人の違い
保証人と連帯保証人は言い方が違うだけで、同じものだと思っている方は多いのではないでしょうか?法律上は別物ですので、まず2つの違いについて説明して行きます。
●保証人
債務を負う人(主債務者)が返済や支払ができない場合に備えて、主債務者の代わりに支払責任を負うと約束した人を言います。
→保証人は、債権者に対して、まず主債務者に請求して、主債務者の財産から回収してほしいと主張できます(これを「催告の抗弁権」・「検索の抗弁権」といいます。)。
●連帯保証人
保証人の一種ではありますが、上記の催告の抗弁権・検索の抗弁権がなく、保証人よりもより重い責任を負う存在です。
→債権者は、主債務者と連帯保証人のどちらに請求してもいいんです。
民法改正で変わった連帯保証人に関するルール
令和2年4月から保証に関する民法上のルールが改正になりました。
令和2年4月以降に締結された契約から新しいルールが適用されることになります。
令和2年4月以前の契約では、旧民法のルールが適用されますので、注意してください!!
旧民法では、保証契約・連帯保証契約ともに「書面」で契約を締結しないと無効というルールがあるのみで、保証人・連帯保証人は無限に責任を負う状況になっておりました。
改正民法では、そんな保証人・連帯保証人の責任の範囲を明確にするとともに、安易に保証人・連帯保証人なってしまうのを避けるような変更がなされました。
変更点①:極度額を定めない連帯保証契約は全て無効に!!
令和2年4月以降に締結される契約では、個人が連帯保証人になる場合、連帯保証人が支払責任を負う金額に上限(極度額)を定めない連帯保証契約はすべて無効になります。
極度額の定めは書面で明示し、当事者間の合意をもって、明確な金額を定めなければいけません。
連帯保証人になる人は、極度額の範囲内で支払責任を負う可能性があると理解しておく必要があります。
変更点②:連帯保証人になる人へ公証人が保証意思を確認する必要がある!!
これは、個人が事業用の融資で連帯保証人になる場合に、公証人が保証意思を確認するルールが新設されました。
事業用の融資を受ける際、事業に関与していない親戚や友人をはじめとする第三者が内容を理解せずに連帯保証人になっているケースがあり、安易に連帯保証人にならないために公証人による確認が必要になりました。そして、それを公正証書にする必要があります。
①主債務者が法人で、法人の理事・取締役・執行役や、議決権の過半数を持つ株主の場合
②主債務者が個人で、主債務者の共同事業者、主債務者の配偶者で現に事業に従事している場合
変更点③:連帯保証人への情報提供を義務化!!
令和2年4月から施行された民法のルールでは、以下の内容を連帯保証人へ情報提供する義務が課されています。
これによって、連帯保証人になるか慎重に考えて決めることができます。
①連帯保証人になるかを判断する情報
②主債務の返済状況に関する情報
③支払期限を徒過した場合に被る不利益に関する情報
最後に
よくドラマのワンシーンでもありますが、「絶対に迷惑をかけないから」と言われて、それを信じて連帯保証人になってしまうケースもあります。
安易に信じて他人の連帯保証人になるのは絶対にやめてください!
どうしても連帯保証人にならないといけない場合には、ちゃんと法律上のルールを理解して、いろんな情報を収集し、慎重に決断をしていただきたいと思っています。








